(飲酒後)睡眠中の手のしびれ…原因は手根管症候群だった話 ~サタデーナイト症候群との関係も少し考えてみる~

お酒 と 思索

キリンの生態については、疑問に感じたことをいろいろ調べて、ちょっとだけ詳しくなりました。
でも、ヒトに関してはあまり興味を持ってきませんでした。灯台もと暗しですね。

先日、寝ているときに強い手のしびれで目が覚めました。
趣味という枠からは少し離れるのかもしれませんが、今回は「ヒトの生態」の一部として、少し考察してみようと思いました。

手のしびれに関して

一年くらい前から、月に一度くらいの頻度ですが、寝ているときに「手がビリビリとしびれて」目が覚めることがあります。なんとなくですが、お酒を多めに飲んだ夜に多いように感じています。

なんだろうな、大きな病気の始まりではないか、と(少しですが)心配していました。
右手のこともあれば、左手のこともあります。

手先の感覚神経は、末梢神経を伝って頚部の脊髄に合流し、脳の付け根付近(延髄)で左右を交叉して、大脳にたどり着きます。

頚椎症を疑う

右手のこともあれば、左手のこともあるということから、病変部位を推定します。

病変が一か所だと仮定すると、右手と左手の感覚神経の経路が重なる部分は頚髄レベルですので、頚椎症を第一に疑いました。多めにお酒を飲むと、首の角度がいつもと違っても、そのまま寝てしまうからかも、と思いました。

そういえば、20歳台のころに「軽度の頚椎症」と言われたことがあります。

早速病院に行きましたが、睡眠時にたまに手のしびれが出現する程度で、通常(日中)は症状がありません。診察時はもちろん症状がありませんので、診断は難しいようです。

頚椎MRIを撮影してもらいました。結果は「軽度の頚椎症」と以前と同じで、経過観察となりました。

「こんなものか」と考え、しばらく日常を過ごしておりました。

しびれの領域は正中神経!

手の感覚神経には、下記の図のように領域が分かれています。

つまり、親指と人差し指のみがビリビリすれば頚椎レベルの障害(C6)が疑われ、親指から薬指の半分までがしびれていれば正中神経の障害が疑われます。

手の感覚神経の分布です。C6は第6頚椎の椎体骨の上にある孔から出ている神経を示します

次にしびれて目が覚める日を、少し意識して待つことにしました。


ある晩、右手がビリビリとして目が覚めました。

「そうだ、どこがしびれているかな」と突然思い、左手で右手の指先を一本ずつ触ってみます。

すると、親指・人差し指・中指まではビリビリ。
小指はビリビリなし。
薬指は親指側だけがビリビリします。

これはまさに――

頚椎レベルの障害ではなく、正中神経の障害でした!

手根管症候群とは

正中神経の障害の原因として、最も頻度が高いのは「手根管症候群」です。

手根管症候群とは、手首部の靭帯で囲まれた部分に正中神経が走っていますが、そこが狭くなり神経が圧迫されている状態です。

診断にはいくつかの診察法があります(下記)。
早速試してみます。

手根管症候群の診察手技です


Tinelサインは、ポンポンと手首の付け根(靭帯の部分)を叩き、しびれが悪化すると陽性とする診察です。
実践してみると、少ししびれが広がるような、そうではないような感じで、よくわかりませんでした。

Phalenサインと逆Phalenサインは、上記の姿勢で1分以内にしびれが悪化すれば陽性です。

実践してみると、30秒程度後に、しびれのない状態から、”寝ているときのあのビリビリ感”が明らかに出現してきました(Phalenサインと逆Phalenサイン両者とも!)。


以上から、両手の軽度の手根管症候群ではないかと考えました。

治療は軽症の場合は、痛み止めやビタミン剤、親指の筋肉がやせるような重症の場合は手術になるようです。

今から考えると、睡眠中にしびれで目が覚めたときは、なぜか手首が「Phalenサイン」のように屈曲していたような気がします。お酒を多めに飲んだ日はなおさらなのかもしれません。

治療に関しては、私自身は日中は症状が全くありませんので、通常の軽症よりもさらに軽症です。
ひとまず経過観察としています。

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サタデーナイト症候群との関連は?

飲酒と末梢神経の圧迫といえば、古くから知られているものに「土曜日の夜症候群(サタデーナイト症候群)」があります。これは、お酒を飲んで深く眠り込んだ結果、腕などが長時間圧迫され、神経麻痺(特に橈骨神経麻痺)を起こしてしまう状態です。

通常であれば、神経が圧迫されると痛みや違和感で目が覚め、姿勢を変えることで圧迫は解除されます。しかし、飲酒後は睡眠が深くなりやすく、軽い神経圧迫の段階では目が覚めないまま圧迫が続き、神経障害が生じる可能性が指摘されています。

今回の私の手のしびれは、診察所見からは軽度の手根管症候群と推測されますが、発症が「飲酒後の夜に多い」という点は少し気になります。もしかすると、飲酒によって手首が屈曲した姿勢のまま長く眠ってしまい、正中神経への圧迫が続いた結果として症状が出ているのかもしれません。

いわば、手根管症候群の症状が、サタデーナイト症候群に似た機序で出やすくなっている可能性も考えました。これはあくまで個人的な推測ですが、こうして自分の体の現象を少し調べてみると、「ヒトの生態」もなかなか興味深いものだと感じました。

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